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「午睡のあと」
午睡から目覚める。
この世界にこだまする喧騒からたった一人、
取り残されたような寂しさと畏れ、
体と意識が乖離したような浮遊感にしばらく戯れる。
夢と現実の境目に揺れながら、私はふいに死を思う。
古代の人々は、夢とは、
寝ている間に肉体から離れた魂が実際に体験していることだと信じていたらしい。
現在では、深層心理を映し出し、
現実での欲望を満たす役割を果たしていると考えられているが、
その実態はまだまだ不明瞭のようだ。
私が今この世界に存在することの不思議。
その答えがあるような気がして、夢の中の出来事を思い出す。
ぼんやりと紡ぐ記憶の粒は、それでもすぐに溢れ落ちる。
やがて私が微睡みから覚醒すると、
夢のことも、死のことも、
そして存在することに対する尽きない疑問も、
幾何学模様の渦を描きながら穏やかに消えていく。
日常の記憶と溶け合いながら。
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